作製の様子
現在作成中の絵の様子をご紹介いたします。
キャンバスサイズ:SM
奈良県在住のジュエリーデザイナー國本 絵美子さん
(HPはこちら→HP)
より、作製のご依頼を頂きました。
音楽と花のイメージを元に、
青空(スカイブルー)と、ハープをご希望に承りました。
ハープのイメージも、現在オーケストラ等で使われる現代風のハープでなく、
古代ローマやギリシャ神話の中で出てくるような、クラシカルなハープ(たて琴)
のイメージで一致をみて、作画開始いたしました。

下絵の段階のため、本塗りで使う色はいきなり使わずに、
モノトーン調で各部のバランスを見ながら形を整えていきます。
花と花瓶を一まとまりとみた場合、全体的に逆三角形の構図となり、
画面的に不安定になります。
バイオリン、チェロのような楽器の場合、胴体部分がはいるため調和が取
りやすいのですのですが、
ハープの場合、主要(骨格)部分の
ボディが細いことと、メインとなる部分は弦が中心を占めるので、花とハ
ープを効果的に見せるために、その形や配置に熟考を重ねました。
結果、花瓶の前に立てかける形で、しかも花の部分よりも下の位置でまと
めることにより、花も弦の部分も十分にみせることができ、胴体も膨らみ
をつけることで花瓶の形と調和を取ることができ、構図上の問題を、クリ
アできました。
背景の空の部分は、手前に映る部分(花や花瓶やハープ)を描く前に、グラ
デーションを入れながらいっき描きします。
夕日色(オレンジ)の部分と、青空(スカイブルー)の部分の間は、イエロー
にセルリアンブルーを少し混ぜた、青緑黄色味の色を入れて上下をつなげ
ます。
ここで一度、絵の具の乾燥を待ちます。

塗る→乾燥→塗る→乾燥→‥という作業を繰り返すことで、油絵独特の厚
みのある絵肌が構築されていきます。
乾いた色の上に、また別の色を重ねていく。
その時に偶然、隙間から下に塗った絵の具の色が見えたりして、その偶然
が、豊かな色面を構成していくことになります。
これが、油絵の面白さ、愉しさです。
だから、場合によっては、上に塗る絵の具をべったり塗ってしまわずに、
あえてかすらせたり下の色が見えるようにとめることもあります。
この効果を見込んで、下絵の段階では、本色で使う色とはあえて対色(お互
いの色を引き立てあう色)をベース色に使う場合もあります。
いろんな色が入り交じり、なおかつそれらの色彩を取り込んで、全体のハ
ーモニー(調和)へと仕立て上げてゆく。
この包容力が、油絵の魅力です。

乾燥を待って、仕上に入ります。

花瓶の部分の縦に走るジグザグの部分は、偶然その形に見えたので、
修正せずそのまま出しました。
その形状に、花瓶が造形されていることを示します。
波形のリズムは、エネルギーの波、下から上昇の形をとって、右側の
花の菱形の縁沿いに上昇して、左側の花の正方形のラインへとそのエ
ネルギーを導きます。
花と花瓶とたて琴のセットで、顔の様にもなっています。
花の両部分が目、花瓶(ジグザグのライン)が鼻、琴の輪郭が頬っぺた
と顎関節(頬骨)、琴の下部の湾曲した部分の窪みの陰を口(えくぼ)調
にみせています。
花瓶と琴の台座(ピアノ)の部分は、両端を少しグレー調にして、夕日
の光を受けてそのボディがやや反射している感じを出しました。
ここで再び絵の具の定着を待ち、細部を詰めていきます。

たて琴に、弦を描き加えました。
グレーをベースに、影になっている部分(黒)と、光が当たっている部
分(ハイライトの白)をつけました。
ハイライトには点々の部分も加えて、光に輝いている様子もつけました。
弦は、背景のグラデーション(青→オレンジ→紫(影)→白→黒)を縦に
横切ることと、背景とのつながりを保つため、その太さと間隔と色合
いを考慮しました。
弦が太すぎると、存在感はあるものの背景との断続を断ってしまい不
釣合いになり、薄すぎても弦に見えず不釣合いなので、この感じでバ
ランスさせました。
ご依頼主にもお写真をお送りして、最終的な色合いやバランスを確認
してもらいました。
とても気に入っていただけたようで、「はやく実物をみたい!」とと
ても楽しみにしてくださっています。
絵がお手元に届いた後、箱をあけて実物を目にしたときの笑顔を想像
して、今からワクワクしています。
ここから、最終仕上をしサインを入れて、再び乾燥させます。
その後、額あわせをして発送作業に入ります。

サインを入れました。
Rouge cadmium clair(カドミウムレッドライト)
絵の具の安定を見て、額屋さんに額あわせに行きました。
この数日は雨模様が続いていました。
額合わせに予定していた日は、朝から土砂降りとなり、絵への影響
(湿気、水分等)を考慮し、天気が回復した翌日にしました。
額選びは、店内にずら~っと並んでいる様々なデザインや色合いの
額の中から、「これだ!」と直感的にくる出会いがあるのが楽しみ
です。
何かを選びに行くとき(洋服、アクセサリー、家具、etc…)に、直感
的に惹かれるものがありますが、まさにその感じと同じです。
それに呼ばれるような感覚。
そのものとの出会いの感覚です。
だから、額選びに行くときは「今日はどんな出会いがあるだろう」
とワクワクします。
店内をぐるっと見回して、予め用意していたイメージを参照しなが
ら、ピンと来た額をピックアップしました。
お店の方にお願いして、それぞれ合わせたところを見せて貰いました。
黒い額縁は、初めにイメージしていた額に似ていて、合わせた感じもシン
プルかつスタイリッシュ、内側の金のラインとあいまって、しっくり度は
高いでした。
金色の額の方は、フィーリングを比較するためにその場でしっくりと来た
ものを合わせてみました。黒額よりもインパクトは弱い感じがしましたが、
マット(絵と金色の間にあるベージュっぽく見える)部分が、絵と金色の部
分をつないてくれていて、いい感じでバランスしていました。
ここで、しっくり度の高かった黒の額縁の方をチョイスしたくなるのですが、
ちょっと待ってください。
あまりにもインパクトが強いと、見た目の印象は強いのですが、絵はお部屋
のインテリアとして毎日目に触れるという性質も含んでいます。
その観点と、長く楽しんでいただきたいとの想いから、良い意味で主張も強
すぎず絵とのフィーリングも良いと感じた金色の額の方を、おすすめさせて
頂きました。
予め、ご依頼主と来店時間帯を打ち合わせして、その場で携帯を通じて確認
が取れるようにお願いしていました。
(直接目でご確認いただくのが一番ですが、遠方などどうしてもご都合の付か
ない場合、今回のように携帯の写メール機能を使いご確認いただくことも可能
です)
それぞれのフィーリングと写真のメール添付を添えてご確認いただき、金色
の額縁の方を購入しました。

額選びも、合わせる額によって絵の表情も全く違うものとなります。
その時に、自分でも見えなかった絵の別側面に出会うような感覚になって、
違った魅力を発見するようで面白いです。
絵と額の印象だけでなく、飾られるシュチエーションも考慮し、トータルで
決めていく要素もあり、難しい所でもありますが、絵を手にとって下さる方
の笑顔につながると思うと、その喜びもひとしおです。
◇皆さまから頂いたご感想はコチラをご覧下さい。
◇一枚の絵が出来るまで、どのようなプロセスを経るのでしょうか?⇒答えはコチラをご覧下さい。
◇その他の、作製の様子⇒http://nomuw.blog67.fc2.com/blog-entry-43.html
◇オリジナル絵画のオーダーについてはこちらをご覧ください。
◇新月に作製開始。毎月限定3枠のみのオリジナル絵画オーダーについてはコチラをご覧ください。
◇お問い合わせ e-mail keisukenomu♡gmail.com (♡→@)
オーナー様の作品をご紹介する、
オリジナルコレクション一覧は、こちらでご覧いただけます。(PC)
(画面をクリックすると拡大表示画面になります)
いつもブログをお読みくださりありがとうございます。
キャンバスサイズ:SM
奈良県在住のジュエリーデザイナー國本 絵美子さん
(HPはこちら→HP)
より、作製のご依頼を頂きました。
音楽と花のイメージを元に、
青空(スカイブルー)と、ハープをご希望に承りました。
ハープのイメージも、現在オーケストラ等で使われる現代風のハープでなく、
古代ローマやギリシャ神話の中で出てくるような、クラシカルなハープ(たて琴)
のイメージで一致をみて、作画開始いたしました。

下絵の段階のため、本塗りで使う色はいきなり使わずに、
モノトーン調で各部のバランスを見ながら形を整えていきます。
花と花瓶を一まとまりとみた場合、全体的に逆三角形の構図となり、
画面的に不安定になります。
バイオリン、チェロのような楽器の場合、胴体部分がはいるため調和が取
りやすいのですのですが、
ハープの場合、主要(骨格)部分の
ボディが細いことと、メインとなる部分は弦が中心を占めるので、花とハ
ープを効果的に見せるために、その形や配置に熟考を重ねました。
結果、花瓶の前に立てかける形で、しかも花の部分よりも下の位置でまと
めることにより、花も弦の部分も十分にみせることができ、胴体も膨らみ
をつけることで花瓶の形と調和を取ることができ、構図上の問題を、クリ
アできました。
背景の空の部分は、手前に映る部分(花や花瓶やハープ)を描く前に、グラ
デーションを入れながらいっき描きします。
夕日色(オレンジ)の部分と、青空(スカイブルー)の部分の間は、イエロー
にセルリアンブルーを少し混ぜた、青緑黄色味の色を入れて上下をつなげ
ます。
ここで一度、絵の具の乾燥を待ちます。

塗る→乾燥→塗る→乾燥→‥という作業を繰り返すことで、油絵独特の厚
みのある絵肌が構築されていきます。
乾いた色の上に、また別の色を重ねていく。
その時に偶然、隙間から下に塗った絵の具の色が見えたりして、その偶然
が、豊かな色面を構成していくことになります。
これが、油絵の面白さ、愉しさです。
だから、場合によっては、上に塗る絵の具をべったり塗ってしまわずに、
あえてかすらせたり下の色が見えるようにとめることもあります。
この効果を見込んで、下絵の段階では、本色で使う色とはあえて対色(お互
いの色を引き立てあう色)をベース色に使う場合もあります。
いろんな色が入り交じり、なおかつそれらの色彩を取り込んで、全体のハ
ーモニー(調和)へと仕立て上げてゆく。
この包容力が、油絵の魅力です。

乾燥を待って、仕上に入ります。

花瓶の部分の縦に走るジグザグの部分は、偶然その形に見えたので、
修正せずそのまま出しました。
その形状に、花瓶が造形されていることを示します。
波形のリズムは、エネルギーの波、下から上昇の形をとって、右側の
花の菱形の縁沿いに上昇して、左側の花の正方形のラインへとそのエ
ネルギーを導きます。
花と花瓶とたて琴のセットで、顔の様にもなっています。
花の両部分が目、花瓶(ジグザグのライン)が鼻、琴の輪郭が頬っぺた
と顎関節(頬骨)、琴の下部の湾曲した部分の窪みの陰を口(えくぼ)調
にみせています。
花瓶と琴の台座(ピアノ)の部分は、両端を少しグレー調にして、夕日
の光を受けてそのボディがやや反射している感じを出しました。
ここで再び絵の具の定着を待ち、細部を詰めていきます。

たて琴に、弦を描き加えました。
グレーをベースに、影になっている部分(黒)と、光が当たっている部
分(ハイライトの白)をつけました。
ハイライトには点々の部分も加えて、光に輝いている様子もつけました。
弦は、背景のグラデーション(青→オレンジ→紫(影)→白→黒)を縦に
横切ることと、背景とのつながりを保つため、その太さと間隔と色合
いを考慮しました。
弦が太すぎると、存在感はあるものの背景との断続を断ってしまい不
釣合いになり、薄すぎても弦に見えず不釣合いなので、この感じでバ
ランスさせました。
ご依頼主にもお写真をお送りして、最終的な色合いやバランスを確認
してもらいました。
とても気に入っていただけたようで、「はやく実物をみたい!」とと
ても楽しみにしてくださっています。
絵がお手元に届いた後、箱をあけて実物を目にしたときの笑顔を想像
して、今からワクワクしています。
ここから、最終仕上をしサインを入れて、再び乾燥させます。
その後、額あわせをして発送作業に入ります。

サインを入れました。
Rouge cadmium clair(カドミウムレッドライト)
絵の具の安定を見て、額屋さんに額あわせに行きました。
この数日は雨模様が続いていました。
額合わせに予定していた日は、朝から土砂降りとなり、絵への影響
(湿気、水分等)を考慮し、天気が回復した翌日にしました。
額選びは、店内にずら~っと並んでいる様々なデザインや色合いの
額の中から、「これだ!」と直感的にくる出会いがあるのが楽しみ
です。
何かを選びに行くとき(洋服、アクセサリー、家具、etc…)に、直感
的に惹かれるものがありますが、まさにその感じと同じです。
それに呼ばれるような感覚。
そのものとの出会いの感覚です。
だから、額選びに行くときは「今日はどんな出会いがあるだろう」
とワクワクします。
店内をぐるっと見回して、予め用意していたイメージを参照しなが
ら、ピンと来た額をピックアップしました。
お店の方にお願いして、それぞれ合わせたところを見せて貰いました。
黒い額縁は、初めにイメージしていた額に似ていて、合わせた感じもシン
プルかつスタイリッシュ、内側の金のラインとあいまって、しっくり度は
高いでした。
金色の額の方は、フィーリングを比較するためにその場でしっくりと来た
ものを合わせてみました。黒額よりもインパクトは弱い感じがしましたが、
マット(絵と金色の間にあるベージュっぽく見える)部分が、絵と金色の部
分をつないてくれていて、いい感じでバランスしていました。
ここで、しっくり度の高かった黒の額縁の方をチョイスしたくなるのですが、
ちょっと待ってください。
あまりにもインパクトが強いと、見た目の印象は強いのですが、絵はお部屋
のインテリアとして毎日目に触れるという性質も含んでいます。
その観点と、長く楽しんでいただきたいとの想いから、良い意味で主張も強
すぎず絵とのフィーリングも良いと感じた金色の額の方を、おすすめさせて
頂きました。
予め、ご依頼主と来店時間帯を打ち合わせして、その場で携帯を通じて確認
が取れるようにお願いしていました。
(直接目でご確認いただくのが一番ですが、遠方などどうしてもご都合の付か
ない場合、今回のように携帯の写メール機能を使いご確認いただくことも可能
です)
それぞれのフィーリングと写真のメール添付を添えてご確認いただき、金色
の額縁の方を購入しました。


額選びも、合わせる額によって絵の表情も全く違うものとなります。
その時に、自分でも見えなかった絵の別側面に出会うような感覚になって、
違った魅力を発見するようで面白いです。
絵と額の印象だけでなく、飾られるシュチエーションも考慮し、トータルで
決めていく要素もあり、難しい所でもありますが、絵を手にとって下さる方
の笑顔につながると思うと、その喜びもひとしおです。
◇皆さまから頂いたご感想はコチラをご覧下さい。
◇一枚の絵が出来るまで、どのようなプロセスを経るのでしょうか?⇒答えはコチラをご覧下さい。
◇その他の、作製の様子⇒http://nomuw.blog67.fc2.com/blog-entry-43.html
◇オリジナル絵画のオーダーについてはこちらをご覧ください。
◇新月に作製開始。毎月限定3枠のみのオリジナル絵画オーダーについてはコチラをご覧ください。
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COMMENT
けいちゃん、すごいいい感じだね!
出来上がり、楽しみです☆
因みにリビングに飾ろうと思ってます。
Blog,相互リンクしようか?
しておくので、よろしくおねがいします!!
出来上がり、楽しみです☆
因みにリビングに飾ろうと思ってます。
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しておくので、よろしくおねがいします!!
ごうちゃんへ
絵はそろそろ最終段階です。
楽しみにしていてください!
リンクもありがとう。
絵はそろそろ最終段階です。
楽しみにしていてください!
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